入院が決まったら所定の時間内に受付で入院手続きをします。
入院証書(申込書)には、入院にあたっての契約事項が記載されているので、内容をよく読んでから本人の名前や生年月日、住所など必要事項を記入します。
また、入院証書には医療費の負担や緊急時の連絡、本人の意識がない場合は意思決定を担う「入院保証人」の署名と捺印が必要になります。
前項の「キーパーソン」が適していますが、病院によっては2名の保証人を求められることがあったり、同居している身内ではなく別世帯の人を求められることもあるので、兄弟姉妹・親族でよく話し合って決めましょう。
- 本人の健康保険証(当日手元にない場合でも後日必ず持参しましょう。ないと実費で支払うことになります。)
- 本人の印鑑
- 保証人の印鑑
- 入院保証金(病院によりますが、必要な場合は5~10万円くらいが目安です。)
手術をする時や検査を行う時、またタオルや病着(寝間着)などのレンタル契約をする時など、入院中はいろいろな同意書にサインすることを求められます。
インフォームドコンセントの時と同様に本人が理解・サインできない状態であれば家族が行いますが、病院によっては本人がサインできる状態にあっても、本人以外の人に同意を求められることもあります。
- 手術・輸血・麻酔などを受ける時
- 大きな検査(造影CTやMRI、心臓カテーテル検査など)を受ける時
- 人工透析を受ける時
- カテーテルを留置する時
- 差額ベッドを利用する時
手術や検査など治療に関する同意書は、一般的に「この手術(検査)を受けるにあたって医師より十分な説明を受けましたので、手術(検査)することに同意します」というような内容が書かれています。
その治療の必要性や副作用、起こり得るリスクなどについてが記載された説明書と同じ書面になっている場合もあります。説明の段階で疑問や分からないことがあればしっかり質問してください。
同意書は「これにサインしたら、万が一医療ミスがあっても訴えることはできない」というものではありません。その治療を受けて万が一医療ミスが明らかにあった場合には、まず病院に詳しい説明を求め、真相を解明していきましょう。
個室や少人数部屋を利用するために徴収される健康保険外の自己負担金のことをいいます。
本人や家族が個室や少人数部屋を希望した場合に限り室料が発生するものですが、病院側から「大人数部屋のベッドが空いていない」と言われたり、「手術の後は個室の方がいい」と勧められるケースもあるでしょう。病院によって大人数部屋の室料との差が大きかったり、差額ベッド代そのものが高額だったりすることで、精算時にトラブルになる例も多いです。説明をよく聞いて判断してください。本来病院側の「治療上の必要」や感染対策など病棟管理の必要性から個室や少人数部屋に入院させる場合は差額ベッド代を支払う必要はありません。
1人部屋 | 7,797円 |
2人部屋 | 3,087円 |
3人部屋 | 2,800円 |
4人部屋 | 2,407円 |
厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」H28年7月時点
健康保険では、自己負担額の上限が定められており、その限度額以上かかってしまった場合、超えた金額が戻ってくる『高額療養費制度』があります。
しかし差額ベッド代は健康保険適用外なので高額療養費の対象になりません。
入院中の治療の流れや進め方の説明を受ける際、病院から「入院診療計画書」が渡されます。
病名・症状・治療計画・推定される入院期間などが書かれた書面で、医師が患者側に治療等の同意を得る「インフォームドコンセント」の趣旨が書かれていることから、説明がより理解しやすくなります。
最近は、“入院〇日目=レントゲン検査”“〇日目=水分摂取開始”など、治療や検査、看護ケアや目標などが分かりやすいように1枚の表にまとめた「クリニカルパス」と呼ばれるスケジュール表を手渡す病院も増えています。
入院診療計画書もクリニカルパスも、病院によって書式や内容は様々ですが、書面を見ることで入院生活や退院の見通しがイメージでき、とても便利です。
また、入院診療計画書やクリニカルパスはキーパーソン以外の家族や、頻繁に面会に行けない親族にも見せて、状況を理解してもらい、情報を共有できるようにしましょう。
これらの書面があることで、医師からの説明が理解しやすいだけでなく、いつ、どんな検査や治療が行われるのか把握できるので、本人の安心感につながり、治療やケアを受け入れやすくなるでしょう。また看病している家族にとっても面会の計画や、退院に向けてのプランが立てやすくなるといったメリットがあります。