入院中の治療により、病気やケガの状態が落ち着くと退院に向けての準備が始まります。
体の状態、本人の希望、家族それぞれの意見やサポート体制など、まずは家族全員でじっくり話し合い、退院後の生活について考えましょう。
病気によっては身体のどこかに麻痺があったり、視力や聴力が低下したり、見た目にはわからなくても疲れやすくなったり・・・入院前と同じように生活することが難しくなるケースも多いです。
高齢の親の場合、自宅に戻りたいという希望があっても、階段の昇り降りができない、床が滑りやすい、手すりが必要など、リフォームしなければならなかったり、夫婦2人もしくは1人暮らしなら様々なサポートが必要になります。自宅以外で生活するという選択肢も検討し、本人・家族にとってベストな形を考えましょう。
遠方の親戚が仕切るのは揉めるモトです。
家族会議では、その提案が誰の負担になるのかを考えて発言しましょう。
みんなで協力体制を作る方向に。
退院後、生活する場所のあれこれ
入院の必要がなくなったとはいえ、体の状態や受け入れ方、精神状態、サポート環境、本人の年齢など 一人一人違います。本人の希望、支える家族の気持ちや体制、医師やソーシャルワーカー・ケアマネージャー等の意見も聞きながら、家族みんなでじっくり話し合って決めましょう。
自宅 | 本人にとってはおそらく一番戻りたい場所。家のリフォームや家族のサポート、デイサービスや訪問介護などの介護保険の利用が必要になる場合もある。 | |
子と同居 | もともと親と子が離れて住んでいる場合、どちらかの家に一緒に住む、リフォームして二世帯住宅にする、親と子のどちらかがスープの冷めない距離の所に引っ越すなど。簡単ではないので、しっかり相談を。 | |
高齢者向け住宅 | サービス付き高齢者向け住宅 (サ高住) | 60歳以上、要介護者(軽度)・要支援者が入居対象で、バリアフリーの高齢者向け賃貸住宅。安否確認等の見守りサービスや買い物代行や病院への付き添い等の生活相談サービスがついている。介護が必要な場合は、訪問介護等の外部事業者と契約する必要がある。 |
シニア向け分譲マンション | 介護までは必要ではないものの、加齢による体力低下で家事が負担になってしまったり、一人暮らしでは不安のある方に食事のサービスや、すぐに管理人が駆けつけてくれる通報装置があり、高齢者が暮らしやすい設備が整っているマンション。 分譲なので売買や相続もできる「資産」となるもの。 自立生活ができる人対象で、クラブ活動や娯楽などのコミュニケーションの場が充実している。介護が必要な場合はサ高住同様、外部事業者と契約が必要。購入費用が高いところが多い。 | |
有料老人ホ|ム | 健康型有料老人ホーム | 健康で元気な高齢者の為の施設。介護の必要のない方が対象で、見守りと生活援助のサービスの他、ジムやカラオケ、温泉などの設備があったり、外に出かけるようなレクリエーションや趣味の習い事を始めるなど、日常生活をより楽しみたい活動的な高齢者に適している。介護や継続的な医療処置が必要になったら退去しなければならない。 |
住居型有料老人ホーム | 基本的には自立度の高い高齢者が対象。見守り、食事の提供、掃除や洗濯などの生活援助や緊急時の対応などのサービスが受けられ、充実した生活や介護予防を目指し、レクリエーションやイベントなどの実施に積極的。 軽度の要介護者であれば、外部事業者による介護サービスを利用できるが、重度の介護が必要になった場合は退所となる。 | |
介護付き有料老人ホーム | 施設により方針も体制も様々あるが、介護が必要な高齢者を介護スタッフが24時間常駐し、生活援助の他、食事介助やオムツ・トイレ等の排泄介助、入浴や着替えなど生活に関わる全ての介護サービスが提供される。 重度の要介護者や医療ケアが必要な方にも対応できる施設が多い。 | |
グループホーム | 認知症の高齢者が5〜9人の少人数で、掃除・洗濯・食事の準備を自分たちで行い共同生活を送る施設。家庭に近い環境で、認知症について専門的な知識を持った介護スタッフが利用者の能力に合わせ自立を目指したケアを行う。 | |
特別養護老人ホーム(特養) | 公的に運営されている介護施設で、寝たきりなど要介護度が高く、自宅で適切な介護を受けるのが困難な高齢者が入居できる施設。原則、要介護度3以上。 公的なので比較的費用が安く、終の住処として終身の利用が可能なことから人気が高い。そのため、入所を希望してもなかなか入ることができず、長期間待機するケースも少なくない。 また、要介護度の高い人で身寄りがなく、自宅での生活が難しい場合、介護する家族が要介護3以上の場合、家族から虐待を受けている場合など緊急度の高い深刻な状況にある人は優先される。 | |
介護老人保健施設(老健) | 退院後、自宅での生活に戻るためにリハビリや医療ケアを受け身体機能、日常生活における動作の回復を目指す公的施設。退院できるが、いきなり自宅で生活するのは難しい方にとっての中間地点として、また特養など他の施設が見つかるまでの仮の住まいとして利用される。 入所期間は原則3カ月だが、長く入所できる施設もある。 介護士だけでなく看護師も24時間常駐しており、適切な医療ケアが受けられることも特徴の一つ。 |